最近ではペットショップに行けばデグーがいることも多く、デグーグッズもだいぶ増えてきました。しかし私がデグーを飼いはじめたときは、デグーを扱っているペットショップが少なく、デグーに関する情報やデグーグッズもほとんどありませんでした。
近年ではデグーに関する情報はネット上でも入手しやすくなり、専用フードや消耗品の種類も豊富に販売されるようになりました。デグーという動物がペットとしてメジャーになりつつある証拠でもあります。
SNS上でもデグーの可愛い写真や動画が溢れ、それを見た人がデグーに興味を持ち、家族に迎える人が増えてました。Web上の記事では、「飼育しやすい」という記事も見掛けるようになりました。
デメリットと言うと大げさかもしれませんが、デグーと暮らすことは大変なことも多く、けっして簡単とは言えません。今回の記事は、「デグーをこれからお迎する方に知ってほしい」実際の飼育について触れていきます。
(執筆者:hanatorapooh)
1.デグーはネズミではありません
デグーの写真や動画を見せると「可愛いネズミですね。」と言われることもあります。デグーマウスと呼ばれることもあり、デグーをまったく知らない方が見たら、外見はネズミにしか見えることもあります。
しかし、デグーはネズミではありません。長く伸びた歯、モフモフした体、長いシッポ、小さな耳。どう見てもネズミに近いのですが、分類上はヤマアラシ亜目となり、モルモットやチンチラ、カピバラの仲間です。そのせいか、まったりしている姿は本当にカピバラそっくりです。
デグーは名前を理解する
デグーはとても賢い動物です。驚くことに、自分の名前を覚えます。繰り返し名前を呼んで接してあげることが大切ですが、そうするうちに「自分を呼んでいる」ということを理解します。
名前を呼ぶと急いでやってくるデグーもいるので、その姿に癒される飼い主も多いでしょう。これがデグーと仲良くなるためにする最初のステップです。
2.社会性(コミュニケーション)の高さ
デグーは野生下において、5~10匹ほどの群れで生活しています。群れで生活していることから、社会性が高くてコミュニケーション能力に優れています。仲間同士で会話をする際、何種類かの鳴き声を使い分けます。
その鳴き声は、小鳥の歌っているような美しいさえずりに聞こえ、そのことから「アンデスの歌うネズミ」と呼ばれています。好奇心が旺盛で感情豊かな性質は、人に対しても発揮され、「ベタ慣れ」といった状態を生み出すこともあります。
デグーは芸を覚える
学習能力の高さは、他のげっ歯類とは比べ物になりません。輪くぐりやお手、体をくるくる回転させてオヤツをねだったりと、飼い主が教えた事を良く理解して覚えます。
しかし、学習能力の高さ故に、嫌な記憶があると決して忘れることはなく、その行いに対して拒否し続けます。芸をムリやり教えようとして、失敗するケースがこれです。こうなってしまうと信頼を取り戻すことは難しいでしょう。そうならないためにも、芸の前に信頼関係を築くことが大切です。
3.単頭飼い?多頭飼い?
野生下では群れで生活しているデグーです。飼育環境でも多くのデグーと暮らしている方もいますが、多くは1匹か2匹くらいで飼育されている方が多い印象です。それでは、単頭飼いと多頭飼いのメリット・デメリットにも触れておきます。
デグーの単頭飼い
はじめて飼う場合、単頭飼いを勧められることが多いでしょう。デグーは寂しがり屋な子が多いため、飼い主に「ベタ慣れ」する場合が多いからです。
手の上で寝る子、そばにくっついて離れない子、肩の上に乗ってくつろぐ子。他に仲間がいない単頭飼いの場合、飼い主との信頼関係は深く結ばれることが多いです。
※単頭飼いが必ずしもベタ慣れするわけではありません
我が家も最初は単頭飼いで、かなりベタ慣れしてくれました(´ー`)
TORU@デグーとの暮らしを発信してます (@degu_lifeis) 2017年1月11日
ただ、単頭飼いでもベタ慣れしない子はいるので、これからお迎えされる方は過度に期待し過ぎないほうが良いと思います(´・ω・`)
TORU@デグーとの暮らしを発信してます (@degu_lifeis) 2017年1月11日
デグーと十分に接する時間がない場合、デグーの寂しさは解消されません。飼い主を呼ぶために鳴きつづけるので、この行動に悩まされる飼い主も多くいます。個体差もありますが、あまりかまってあげられない方は、単頭飼いをオススメしません。
デグーの多頭飼い
元々群れで生活するデグーにとって、多頭飼いスタイルが野生下に近い飼育法です。仲間を大切にし、仲睦まじくグルーミングし合う姿はとても可愛らしいものです。単頭飼いでは見られない、重ね合って団子になって眠る習性も見られます。美しい歌声を聞けるのも、多頭飼いならではです。
(参考:野生のデグーはアンデスでどんな暮らしをしているの?)
しかし、多頭飼いのデメリットは飼い主に懐きにくいという点です。 個体差はありますが、ベタ慣れは難しいです。多頭飼いする場合は、「ベタ慣れ」しにくいという点を知っておいてください。
小動物であろうとお金は掛かります
小さい動物だから餌もそんなに食べないだろうし、お金もかからないのでは?と思いがちです。しかし、エサ代だけでなく「ケージに敷く床材・止まり木・エサ入れ」なども必要になります。これらの多くは消耗品なので、定期的に買う必要があります。
デグーを飼う前に考えてほしい事は「経済的負担」です。デグーと暮らすまではわかりませんでしたが、意外に出費がかかります。
種類やペットショップにもよりますが、パイドやイエロー(サンド)などのデグーは比較的高めで販売されています。(参考:デグーの値段の相場 )
また、はじめてデグーを飼う方向けのスターターキット(ケージ一式)は10,000円~20,000円程度の大きな出費があります。
デグーフードに掛かる費用
デグーフードは、一つ800円くらいから3,000円近くのものまであります。「デグーは体内でビタミンCを作り出せない」という説もあるので、ビタミンC配合のデグーフードをオススメします。
このビタミンCについては、以前は「デグーは体内でビタミンCを作り出せない」という説がありましたが、現在では「作れる」という説もあり、獣医によって意見が分かれています。
また、体内で合成するのは苦手で、ある程度の量しか合成できていないという説もあります。一説によると、デグーにモルモットフードが給餌されていた時代に、モルモットがビタミンCを合成できないため、デグーも同じだろうと一括りにされてしまったみたいです。
牧草・チモシーにかかる費用
フードと同じくらいかかせない大切な餌が、チモシーです。安いのものは500円くらいからあり、オーツヘイやバミューダなど、たくさんの種類があります。デグーの好みもあるので、徐々に決めても良いでしょう。
デグーを2匹飼っている私の例で、年間のチモシー(牧草)代を紹介します。我が家は「チモシーゴールドヘイ680g×3個セット」、「バミューダヘイ3kg(500g×6パック) 」を楽天でまとめ買いしています。
※少しでも安くするためのまとめ買いです
商品名 | 商品代 | 年間購入代 |
---|---|---|
チモシーゴールドヘイ680g×3個セット | 4,468円 | 4,468円×6回=26,808円 |
バミューダヘイ3kg(500g×6パック) | 2,690円 | 2,690円×3回=8,070円 |
このように、チモシー(牧草)代だけで年間34,878円、月々にすると約2,900円の費用ということになります。これはチモシー(牧草)代だけの費用です。前述したとおり床材や砂も必要になるので、最低でも月2,900円以上になります。
デグーの月々に掛かる飼育費用(食費・砂・遊び道具)についてアンケート(以下の図:Twitter)を取ったところ、67%の方が1001~4999円という回答をいただきました。半数以上の方がこの回答だったので、デグーを飼育される方はこの金額を参考にしていただければと思います。
★アンケート★
TORU@デグーと暮らしてます (@degu_lifeis) 2016年11月10日
デグーさんの飼育費用(食費・砂・遊び道具)は月々いくらかかってますか?
※突発的な病院代は除きます
※本アンケートはコンテンツの参考にさせていただきます
動物飼育で忘れがちな電気代
小さなペットたちのほとんどが、「日本の湿度が高い夏の暑さ・冬の寒さ」が苦手です。エアコンはつけっぱなしになることも多くなり、当然電気代が掛かります。
黒字(上図)となっている箇所をご覧ください。気温が低くなる秋頃から電気代が上がるのがわかります。このように、冬の電気代が20,000円を超える可能性があることも「飼育代」として考えておくべきです。
その他
主食となる食事以外にもお金が掛かることはたくさんあります。えん麦や乾燥野菜などのオヤツ、砂(砂遊び用)やかじり木など、ストレス解消の為のグッズも必要になります。それ以外にもたくさん必要なものがあります。
(参考:デグーをお迎えする前に知っておきたい!デグー飼育のために用意すべき物)
これらは必要経費に関する出費となり、病気になったら交通費や診療代も発生し、電気代も必ず増えます。デグーのお迎えを検討したとき、このような出費についても考えておく必要があります。
5.まだまだ少ないエキゾチック専門病院
デグーも大切な家族なので、病気になれば病院に連れて行きます。動物病院はたくさんありますが、どこでも良いわけではありません。小さな体にメスを入れるような場合、高度な知識と技術が必要です。
犬や猫と違い、エキゾチックアニマルであるデグーを診てくれる病院は少ないのが現状です。病気になってから探すのでは遅いので、お迎えする際はデグーを診てもらえる病院を必ず探しておきましょう。
ちなみにエキゾチックアニマルとは、輸入された外国産の動物や珍しい動物のことです。犬猫以外の総称で使われることがあります。十分に飼育法や治療法が確立されていない動物を指したりします。
(参考:今人気のエキゾチックアニマルとは?特徴や飼い方を紹介します!)
ペットショップからお迎えする場合、店員さんに「デグーを診てくれる動物病院を」聞くのが一番です。いくつか候補を聞いておくと良いでしょう。ネットでも調べることができますが、電話で確認しておくのも大事な事です。
どんなに有名な病院でも、長い移動時間は極度のストレスがかかります。まずは住んでいる近くで診てもらえるのがベターです。デグーの病院選びについては、以下の記事で詳細をご覧ください。
(参考:デグーの動物病院選び5つのポイント!かかりつけは2軒あると安心)
6.デグーの習性を理解し、個性を尊重することが大切
SNSにアップされている可愛い写真を見て、デグーを飼いたいと思う方はたくさんいる思います。ベタ慣れしている姿、デグー団子になってリラックスしている姿、こういった光景を見たら「これらの仕草が当たり前」と思ってしまうかもしれません。
しかし、必ずしもそうではありません。臆病な子でまったく懐いてくれない子、触ってほしくない子。本当にさまざまなデグーがいます。デグーをお迎えする前に、こういった子たちであっても一緒に暮らしていけるかどうか、もう一度考えてみてください。
私もムリに懐かせようとして、指をざっくり噛まれた経験があります。懐かない事を悩んだ時期もありました。でも、本当に懐いていないのか?そうではりませんでした。
名前を呼んだら近づいてきて、クリクリした瞳を見た時、はじめて自分のエゴに気が付いたのです。懐かないと嘆くのではなく、デグーにもさまざまな個性を持った子がいるので、その個性を尊重して接するべきでないかと思います。
デグーの明るい未来のために
数年前とは比べ物にならないくらいデグーの知名度は上がりました。テレビや雑誌で特集されるのを見るたびに、それを実感しています。
しかし、まだまだ知名度は低く、いつまでたっても「ただのネズミ」です。
それでもデグーをはじめて飼う方が、その魅力にどんどんハマっていく。そして、SNSに写真をアップして、またそれを見た誰かをデグーの虜にしていく。こういったことが「ただのネズミ」⇒「デグー」という認識に繋がっていくのではと思います。
ただ、そこには「デグーと暮らすことの大変さ」が欠けています。本ブログではそういったことも発信し、デグーと飼い主の明るい未来に繋がっていけばと考えています。