デグーの抜け毛、気になったことありませんか?イヌやネコと同じように、デグーにも毛が生え替わる時期(換毛期)があります。
皮膚病などの病気と見分けがつきにくいので、「デグーの換毛期」と「病気」の見分け方を紹介します。今回は皮膚病で多い真菌症(しんきんしょう)を例に解説します。
(執筆者:animal_care_information)
最近、デグーの毛が抜ける
「デグーがハゲた」、 「デグーの毛がたくさん抜ける」「デグーの毛が薄い」、こんなことに気づいたら、次のことをチェックしてみてください。
チェックポイント
1.デグー自身が気にしているか
まず、これで痛みやカユミの有無が想像できます。デグーが脱毛した部位を気にしていない場合は、病気でないことがほとんどです。痛みやカユミが原因の場合は、症状が出ている部分を中心に毛が抜けます。
※その部位をデグーが自分で噛んだり舐めたりするので、毛が薄くなります
痛みが原因の場合は、「捻挫・骨折・腫瘍」などの可能性もあります。数日間でおさまらない場合は動物病院で受診しましょう。
2.全身の毛が抜けるのか、身体の一部の毛が抜けるのか
デグーの毛が抜けるときに、左右対称かどうかチェックしてみてください。ホルモンバランスの異常が原因の脱毛では、身体の中心から左右対称に脱毛がみられます。たまたま左右対称にみえることもありますが、実際は寄生虫や真菌の感染がひどい部分から順番に脱毛が拡がっていきます。
反対に、寄生虫や真菌が原因の皮膚病では、左右対称の脱毛はみられません。 「目の周り・手足の先・首の後ろから腰にかけて」 など、脱毛の目立つ部分が決まってます。
鼻の周囲の脱毛は、ケージを齧っているときにこすれて毛が抜けてしまう場合がほとんどです。ただし、同じ場所に刺激が繰り返されるため、毛が薄くなってしまった鼻の周囲の皮膚に、炎症が起きることがあります。
ニキビのようなものができたり、かさぶたを発見したときは、皮膚炎がひどくなる前に動物病院に相談しましょう。また、心理的な原因で脱毛ができるときも、全身ではなく部分的です。ストレスが原因で、自分の前足などの毛を抜いて薄くなってしまいます。
多頭飼いの場合は、同居のデグーが相手のデグーの毛を抜いてしまうことがあります。長期化させないためには、早めの対策が必要です。
※検査した場所や手術のあとを気にして、舐めたり毛をむしってしまうデグーもいます。一時的なものですが、癖になってしまうことがあります
3.皮膚の赤みやフケがあるか
炎症を起こしていたり、アレルギーなどでカユミがあるときは、皮膚が赤くなることがあります。「皮膚がカサカサしているか」「フケが出ているか」この2つのチェックが重要です。
皮膚病が原因でフケが出ることもありますが、「エアコンの使いすぎで皮膚が乾燥しているとき 」「全身の栄養バランスが悪くなって肌荒れをおこしたとき」。このようなときもフケが出ます。赤みがひどかったり、感染をおこして化膿しているようなときは早めに動物病院で受診しましょう。
正常な脱毛(換毛期)の場合
上の2枚の写真は典型的な換毛線(かんもうせん)です。季節の変わり目に毛が生え替わるとき、このような線ができることがあります。「首の後ろ」「腰の周り」、この2ヵ所がわかりやすいですが 、ほかの部位にみられることもあります。
換毛期は、毛の多い部分と少ない部分がパッチワーク状に表れるデグーもいます。毛が薄い部分でも、皮膚が見えるほどの脱毛にはならないのが特徴です。毛が抜けるので毛繕いしている姿が目立つかもしれませんが、皮膚の赤みはありません。
ただし、換毛期でもフケが出ることがあります。換毛期には被毛(ひもう)だけでなく、皮膚の角質もがんばって入れ替わろうとしています。毛が生え替わるためには、たくさんの栄養とエネルギーが必要です。
そのため、換毛期前に皮膚への栄養が足りていないと皮膚の代謝がうまくいかず、肌荒れやフケがみられる場合があります。換毛期が始まる少し前から、食事の量や内容に気をつけるとフケが出るのを少なくすることができます。
換毛期の前は食欲が低下したり体重が減ったりすることがないよう、フードや牧草の急激な変更は控えた方がいいかもしれません。「病気から回復したばかりのデグー」「老齢のデグー」など、体力が低下しているデグーには、換毛期前に少量のクルミなど皮膚の代謝にプラスになるおやつをあげてもいいかもしれません。
皮膚病の例:真菌症
出典:Leitsymtome bei Meerschweinchen, Chinchilla und Degu
さきほどの換毛期の写真と比べると、脱毛の違いがわかると思います。まず、左右対称ではありません。皮膚が見えるくらい脱毛しています。この状態だと、しきりに患部を気にしている動作がみられます。
出典:Leitsymtome bei Meerschweinchen, Chinchilla und Degu
この写真はモルモットの足ですが、さらに重症です。脱毛はもちろん、皮膚の赤み、かさぶたのようなフケが特徴的です。カユミの治療も必要ですが、いつ細菌が二次感染をおこしてもおかしくない状態です。
化膿しないよう、すぐに動物病院を受診してください。放置しておくと、腫れがひどくなって痛みも出てきます。多頭飼いの場合、他のデグーも感染している可能性があります。「ケージを消毒する」「隔離して飼育する」などの対策が必要かもしれません。
真菌の治療は主に飲み薬ですが、まれに塗り薬が出されることもあります。お薬は、決められた分量と期間を守って使いましょう。ただし、デグーは真菌の飲み薬で食欲が落ちることがあります。数日間飲ませて、気になることがあれば動物病院に問い合わせましょう。
毛の抜け方も重要なヒント
出典:flickr
動物病院の皮膚病検査では、寄生している虫(ダニなど)を直接検出するだけではなく、毛を観察して原因を推測することもできます。以下の項目をチェックしましょう。
チェックポイント
- 毛が根元から抜けているのか
- 途中から切れているのか
- 毛の根元に真菌が感染していないか
- 毛と一緒に寄生虫の糞や卵が取れてきていないか
例えば、毛が途中から切れている場合、デグーが自分で毛を抜いている可能性があります。脱毛している皮膚の一部も検査すれば、さらに詳しい病気がわかります。動物病院では、デグーの皮膚の症状に合わせて、どんな検査をしたらいいのかを判断します。
換毛期は空気が汚れやすくなり、ケージの掃除も普段より大変ですが、デグーのハゲを一早く見つけてあげることで後の対応も変わってきます。可愛いデグーのためにも、たまには抜けた毛の観察をしてみてはいかがでしょうか。