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ペットの殺処分を減らすために私達ができること

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ペット殺処分

ペットブームといわれ、今までペットとして飼われることのなかったカワウソやフクロウを飼う人が増えてきました。犬や猫はもちろん、SNSやテレビではたくさんのペットたちを見かけます。

私が一緒に暮らしているデグーも、「はじめて知りました!」と声を掛けていただく機会が非常に多いです。このような機会が多くの場所で増え、デグーなどエキゾチックアニマルの知名度が年々上がってきました。

しかし、その陰ではなんらかの理由で捨てられるペット、ペットショップで売れ残り、殺処分されているペットがいるという現実もあります。環境省によると、平成28年度に殺処分された犬や猫は55,998匹になっています。
(出典:環境省ホームページ

殺処分ゼロをスローガンに掲げている自治体もありますが、必ずしも順調ではありません。少しでも不幸な動物、殺処分をなくしていくために、私たちにできることはないのでしょうか。

 

ペット殺処分の現状

さまざまな自治体が「殺処分ゼロ」というスローガンを掲げ、実際に対策もしています。2013年には「改正動物愛護法」も施行されました。

この改正により、ペットショップやブリーダーは売れ残ったペットを自治体に持ち込むことはできなくなりました。
しかし、殺処分は本当に減っていっているのでしょうか?殺処分の現状を環境省のHPで調べてみました。平成28年度の統計では、以下のようになっています。

犬の統計:環境省

引取数 41,175頭
返還 12,854頭
譲渡数 17,646頭
殺処分数 10,424頭

猫の統計:環境省

引取数 72,624頭
返還 273頭
譲渡数 26,613頭
殺処分数 約45,574頭

昭和49年の引取数が犬猫合わせて1,250,000頭、うち97%が殺処分されており、平成28年度では犬・猫合わせて約114,000頭、殺処分率は49.2%となっています。

また、殺処分数は昭和49年が1,221,000頭に対し、平成28年は約56,000頭です。昭和49年よりだいぶ減りましたが、まだまだ多いということが現状といえます。
(参考:神奈川県動物愛護協会

殺処分されるペットはどのようなペット?

殺処分されるペットは?

自治体に持ち込まれて、新しい飼い主・居場所が見つからないペットは、残念ながら殺処分の対象になります。ただ、そういう動物たちは元々どこから来たのでしょうか。

飼い主から持ち込まれるペット

「引っ越すから飼えなくなった」、「マンションの規格より大きくなってしまった」、「家族がアレルギーで飼えなくなってしまった」などの理由で持ち込まれます。人間の都合によって振り回されてしまったペットたちです。

逃げ出してしまったペット

「ドアや窓を開けていたらいなくなった」、「散歩中に首輪が外れてどこかに行ってしまった」などで戻れなくなったペットたちです。大地震や災害で行方不明になったペットも多くいます。首輪もなく迷子札もない、マイクロチップも埋め込まれていないとなると、飼い主の元に戻るのはかなり難しいです。

捨てられてしまったペット

公園や山などに捨てられてしまったペットもいます。特に子犬や子猫がたくさん生まれ、貰い手や引き取り手が見つからない場合は、捨てられてしまうことが多くなります。

「引き取り屋」の出現

 

ペットショップやブリーダーなどのペット業者は、動物愛護法の改正により、売れ残ってしまったペットを自治体にを持ち込めなくなりました。そのため、余ってしまったペットを有料で引き取る「引き取り屋」という業者が出てきたのです。

残念ながら、一部の引き取り屋はずさんな管理をしていることもあります。「餌をきちんと与えない」、「不潔な場所で飼う」など適切な飼育をせず、大量に死なせて河原に遺棄をするという事件もありました。

動物愛護団体・自治体で起こる過密飼育の問題点

自治体が殺処分ゼロをスローガンに掲げていることで、愛護団体が多く引き受け過ぎてしまうという問題も生じています。行き場のないペットたちをたくさん引き受け、「人出不足・資金不足」で経営が立ち行かなくなるというケースもあります。

殺処分をしないので、自治体の動物保護施設が犬でいっぱいになり、過密飼育になる問題もありました。2018年1月24日放送のNHKクローズアップ現代では、殺処分ゼロを宣言した熊本県について取材をしています。

殺処分を免れた動物たちが、施設にあふれてしまったのです。以前、収容していた動物は、平均20匹ほど。それが今は139匹まで増えました。大部屋に入れられた犬たちはけんかが絶えないといいます。

引用:クローズアップ現代

過密飼育ではどうしてもストレスが溜まりますし、病気にもかかりやすくなります。熊本県が改善するためにとった対策は、愛護団体の施設にプレハブを増設し、一時的にペットの世話を委託するというものです。このため、熊本県の動物保護予算が膨らんでしまっています。

餌代や光熱費などを含め、1頭当たり毎月2万5,000円ほどの費用は全て県が負担。殺処分ゼロを掲げて以降、県の動物保護予算は、それまでの1.5倍に当たる1億5,000万円まで膨らんでいます。

引用:クローズアップ現代

殺処分はゼロにできるの?

 

「殺処分をしないで!殺さないで!」と自治体に訴えるのは簡単です。
しかし、自治体が殺処分ゼロを目指す裏側では、さまざまな支障が出たり、新たな問題が発生したりすることがわかりました。

とはいえ、「殺処分ゼロを掲げるのはやめよう」となると、行き場のないペットたちは命を落とすことになってしまいます。「本当に動物たちが不幸にならないためにはどうしたらよいか」ということを考えていく必要があります。

殺処分を減らすために

動物の未来のために

私たち飼い主にできることは何でしょうか?殺処分で多いのは犬や猫ですが、デグーやモルモットなどの小動物を捨てる人もいます。ネットではデグーやモルモットなど、小動物の里親募集がしょっちゅう出ています。※すべてが捨てる人ではありません

思いつきや衝動で飼わない

「流行っている」、「SNSで見かけたから飼いたい」など、深く考えず思いつきで飼うことをやめましょう。知識もないままペットショップで見かけ、「かわいいからお迎えした」、「でも臭いから飼うのをやめた」。こういった不幸が生じがちです。

どんなに小さくても命のある生き物です。ペットと暮らすなら動物の性質や飼い方、どのくらい費用がかかるかを勉強する必要があります。そのうえで、本当に飼えるかどうかを考えてからにしたいものです。

ペットは最期まで面倒を見る

ほとんどのペットは人間よりも寿命が短く、飼い主が最期を看取ることになります。ペットも必ず年老いて介護が必要になりますが、一緒にいて楽しかった思い出を胸に最期までお世話をしてあげましょう。

介護が大変でツライときは、まわりに助けを求めることも大切です。獣医さんや経験者から思わぬアドバイスをもらって、楽になることもあります。どのような状況にしても、最期まで面倒を見ることで不幸なペットをかなり減らせるのではないでしょうか。

逃がさないこと

 

逃がして行方不明にさせないことも大切です。「うっかり窓を開けたままだった」、「ドアを閉めていなかった」など、絶対にペットを逃がさないようにしてください。脱走防止の網戸を付けるなど、各家で脱走防止の対策を取る必要があります。

デグーはゲートをすり抜ける可能性もあるので、部屋んぽ中は絶対玄関を開けないことです。災害時も一緒に逃げられるように、避難用フードやキャリーバッグを用意しておくことも大切です。(参考:ペットの防災対策!備えておきたいことは?

おわりに

「デグーと暮らしたいと思っているのですが、一緒に過ごせる時間がかぎられています。大丈夫でしょうか?」こういった質問を受けることがあります。背中を押してほしいのかもしれませんが、基本的にこういったご質問には賛成していません。

私個人としては、飼い主とのコミュニケーションの時間をなるべく増やしてほしいと思っているからです。最初の時点で「一緒に過ごせる時間が少ない」とわかっているのに賛成できるはずがありません。

残念ながら、すべての飼い主が適切な飼育をしてもらえるわけではないため、殺処分や不幸な動物を増やす可能性がある言動に敏感になっています。そのため、本ブログでは安易にデグーをお迎えすることを推奨していません。

それでも、少しでも動物と向き合ってくれる方が増えてくれたら・・・そんなふうに思っています。これから動物をお迎えしようと考えている方は「動物の可愛いさ」だけでなく、「飼育の大変な部分」にも目を向けてもらえたら嬉しく思います。