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ペットの介護からお別れまで。知っておきたい終末期ケア

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動物・ペット

ペットの寿命は、近年長くなったといわれています。例えば犬の平均寿命は、1981年~1982年には8.3歳だったのが、2014年では13.7歳と伸びているのです。しかし、どれだけペットの寿命が延びてきていても、人間の平均寿命よりはずっと短いもの。

そのため、ほとんどの飼い主さんはペットの終末期を介護し、最期を看取ってあげることになります。犬や猫はもちろんチンチラやハムスターなど、すべての動物に言えることです。

「うちの子はまだ元気だから考えたくない。」と思うかもしれませんが、終末期の様子や介護方法ついて知っておくと、最期まで落ち着いて看てあげることができます。

今回はペット終末期の診療や介護に力を入れている獣医さんにお話を伺いました。飼い主さんもペットも最期まで幸せに過ごすためにもぜひ知っておいてください。
(執筆者:伊藤悦子

 

終末期の介護を乗り切るコツは1人で抱え込まないこと

ペットの介護は、動物にツライ思いをさせたくないばかりに「自分がやらなくちゃ」と何でも抱え込みがちです。家族で話し合って、薬を飲ませたりフードを与えたりするなど、ペットのお世話を分担して1人の負担を減らしましょう。

たまには愚痴をこぼしたり、ツライ気持ちを発信したりすることも大切です。なんでも相談できるかかりつけの動物病院も見つけておきましょう。
(参考:動物病院選びのポイント

終末期の介護はどうしても気持ちが後ろ向きになったり、落ち込んだりしがちです。
しかし、なるべくなら明るい気持ちで接したほうがペットも安心できるはずです。少しでもそんな気持ちで接していけるよう「前向きに介護する方法・グッズ」を紹介していきます。

ペットにポジティブな言葉をかける

ペットには明るいポジティブな言葉をかけて安心させてあげましょう。ペットは飼い主さんの気持ちに敏感です。飼い主の「悲しい表情・悲しそうな声」を聞きたくないのではないでしょうか。

弱っているペットと接していると、どうしても気持ちが落ち込みやすくなります。さらに「あのときすぐ病院に連れて行けばよかった」「こんな思いをさせてごめんね」とつい言ってしまいがちです。

飼い主さん自身もポジティブな言葉を口にすることで、落ち込みがちな気持ちも前向きになります。たとえ意識がなくなっていても、最期まで「ありがとう」「大好きだよ」と声をかけてあげましょう。

体を優しくマッサージする

ペットも飼い主さんもお互い温かく触れ合うことで、気持ちが穏やかになります。ポジティブな言葉をかけながら、ペットの体を優しくマッサージしてあげましょう。マッサージの効果で血行がよくなります。

特に寝たきりのペットは血行も悪くなりがちなので、まんべんなく撫でてあげましょう。体に触れることで「痛いところ・皮膚の異常・しこり」などにも気づきやすくなります。

介護日誌を付けることのすすめ

日々の健康状態の記録やペットの様子を書きとめ、写真を撮っておくと受診の際に役立ちます。また、そういった記録は大切な思い出にもなっていくのではないでしょうか。。

例えば「尿・便」の回数や状態、食べたフードの「種類・量」などを記録しておきましょう。手書きで日記のように書いたりブログに記録したり、自分の好きな方法でやってみてください。

ブログやSNSは、同じような境遇の方と情報共有できるメリットがあります。自分のペットだけでなく、他のペットにも役立つ情報として残せます。そういった記録は、ペット愛好者にも喜ばれることでしょう。

あると便利なペットの介護用品!

病気や老衰により、左右どちらかににクルクルと回ったり家具にぶつかったり、すき間に入りこんだりすることがあります。ケージやサークルから出すときは「ペット用・子ども用のプール」、お風呂マットでサークルを作り、その中に入れておくとぶつからず安心です。

抱っこができないときはリュックを前抱きにしてペットを入れたり、デグーやモルモットなどの小動物はエプロンのポケットに入れたりしてもいいでしょう。

お手頃価格のお風呂マットをカットしてペットサークルにしたり、ペット用プールを使うのも便利です。犬や猫、ウサギには専用のキャリーバッグで。小動物には小動物用サークルもおすすめです。

薬や流動食を与えるためのアイディア

終末期の食事や投薬は、ふやかしたフードやペレットを使うと与えやすくなります。 犬や猫であればチューブダイエットベジタブルサポートを食べさせてあげましょう。

ふやかしたフード・チューブダイエットなどを混ぜて40℃程度に温め、手でこねて食べさせます。ペットが好きならヨーグルトを加えてもいいでしょう。流動食にする場合は、1.5倍程度のぬるま湯で溶き、シリンジやスポイトで与えます。焦らず・怒らず・ほめながらゆっくり与えるのがポイントです。

なかなか食べてくれないときは、こねたものを前足に塗ると舐めて食べてくれることがあるので試してみてください。(参考:シニアうさぎの介護問題

こういった「投薬の方法・フードの与え方」は動物病院で教えてもらうのが確実です。可能であれば動画に撮り、後で見直したり困っている方のためにも情報共有してみてはいかがでしょうか。

大変な時はペットを預けて休憩することも大事

どんなに小さなペットでも、介護をすることは飼い主さんの大きな負担になります。家にいる時間が長い人が介護の中心になるため、疲れやストレスもたまります。

たまにはペットを預けて旅行に行ったり、介護を休憩したりすることも大切です。飼い主さんが元気でいることは、ペットが安心して過ごせることにつながります。

預ける場合、普通のペットホテルでは難しい場合もあります。介護付きペットホテルに問い合わせてみましょう。なかなか見つからない場合は、動物病院に相談してみてください。その他、ペットにくわしい友人・知人に預けるという手もあります。ペットに慣れていて信頼している人がいたら検討してみてください。

1人で抱え込まずにまわりの人に相談する

ペットの介護は1人で背負うと、心にも体にも負担が大きくなります。家族やパートナーがいる場合はこまめに話し合い、作業を分担して1人で悩まないようにしましょう。

1人暮らしの方は特に思い詰めてしまいがちです。動物病院の獣医師さんや動物看護師さん、同じような経験をした飼い主さん、ペットを飼っている友人などに話を聞いてもらいましょう。TwitterやFacebookなど、SNSでつぶやくのもいいでしょう。アドバイスやアイディアをもらえることもあります。

大変なときはペットの介護施設も考える

飼い主さんの体調不良など、どうしても介護が難しくなることもあります。特に大型犬など身体の大きなペットの介護は、寝返りを打たせるだけでも重労働です。介護を続けていくことが困難な場合は、ペットの介護施設に預けることも考えましょう。

ペット介護施設の選び方

チェックポイント

面会に行きやすい場所か。清潔な施設か。預けられているペットたちは幸せそうか。こういったことをチェックして決めましょう。ただし、預けるにはそれなりに費用がかかります。手厚く介護してもらい「週に1度飼い主さんに会える」という選択肢は、ペットにとって幸せであるといえるでしょう。

終末期のペットについて知っておく

ペットの終末期

終末期のペットがどのようになるか知っておくと、落ち着いてペットを看取ることにつながります。ペットの最期はどうしても苦しそうに見えることが多く、苦しませてしまったという後悔の念が大きくなりがちです。

終末期が来る前に、かかりつけの動物病院で相談してみてください。「ペットの介護・看取り」について詳しく教えてもらえるはずです。

「けいれん」や「荒い呼吸」はお別れが近いサイン

終末期になると、それまでとれていた「食事・水」を受け付けなくなります。よろけるようになって、立ち上がれなくなります。そのあと呼吸が不規則になり、荒くあえいでいるように見えます。

終末期のサイン

  • 震えたり、けいれんを起こします
  • 手足がつっぱったり、鳴き声を上げたりします
  • 筋肉がゆるむので、尿や便を漏らすことがあります

亡くなるとき、ペットは苦しんでいない

終末期の様子は、上のようなことが起こります。呼吸や声が苦しそうに見えるため「苦しんで死んでしまった」と思ってしまうことも多く、飼い主さんの後悔にもつながってしまいます。

しかし本来は、ペットたちは苦しかったり痛みは感じたりしていないと言われています。どのペットも同じような経過をたどって天国に行くことが多く、けっして「苦しませたわけではない」ということを覚えておきましょう。

お別れのとき、そばにいてあげられたら「ありがとう、がんばったね」とやさしく声をかけて見守ってあげてください。「病院に預けている間・外出している間」に亡くなってしまったとしても、ペットたちは苦しむことなく、それまで飼い主さんの十分な愛情をもらって旅立ったのです。