デグーの飼い主さんは定期的にデグーの体重を測定している方が多いです。
体重測定は、デグーの健康管理に重要です。
でも、測定したその値はちゃんと解釈できているのでしょうか?
今回は、体重について理解するためのポイントを解説します。
(執筆者:animal_care_information)
デグーの体重はいつ測定するのか
1つ目のポイントは、デグーの体重を測定するタイミングです。
デグーの体重は1グラム(g)単位で増減しますので、食前と食後ではもちろん体重が違ってきます。
「あれ?前回より5gも減っている」というとき、前回は食前、今回は食後に測定していた可能性もあります。
同様に、就寝前と就寝後、飲水前と飲水後といったわずかな違いでも体重は変わってきます。
そう考えると健康なデグーの場合、日々の小さな体重変動に一喜一憂する必要はなさそうです。
いつも同じタイミングで測定しなくても「体重には誤差がつきもの」と認識しておけば、今週の平均、今月の平均、という形で、「平均体重」を利用して健康管理することができます。
また、デグーがリラックスして体重計に乗ってくれた方が、正確に測定できます。
発情や喧嘩でイライラしている時、何かでびっくりして鳴いた後などは避けた方が体重計の上でじっとしていてくれます。
特にお迎えしたばかりの子は、環境になじむのに必死です。
抱っこされるのを嫌がるような状態で無理に何度も測定する必要はありません。
当然のように思えますが、体重測定が習慣になっているような場合、「健康のバロメーターだし、測らないとだめだよね」という気持ちになってしまうことがあります。
そんな時は思い切って延期しましょう。
デグーのためを思ってやっていることが、かえってデグーの負担にならないように注意が必要です。
健康な子であれば、1~2週間体重を測れなくても、まったく問題ありません。
上手に測定できたら、飼い主さんとの「楽しいコミュニケーションのひとつ」としてデグーが記憶してくれるでしょう。
体重の記録を残しておこう
2つ目のポイントは、データ収集です。
といっても、測った日付と体重がわかるようにメモしておけば十分です。
当然ですが、体重の増減には個体差があり、デグー個々には特徴的な傾向があります。
例えば「この子は5g単位でしょっちゅう変動する」とか、「この子は時々、急に10g近く増えるけど、気づいたら戻っている」、「いつ測っても全然変わらない」などがわかってきます。
体重計や測定のときに、デグーを入れる容器の具合で誤差が生じることもあります。
細かい数字に神経質にならず、季節単位で大きな変動の波を把握するようにしましょう。
ただし、例外もあります。
代謝の活発な成長期や、逆に代謝が乱れがちな高齢のデグーでは、わずかな食欲不振が大きな体調の変化につながる可能性があります。
頻繁に体重を測定する例として、以下に赤ちゃんデグーの体重の変化の目安を示します。
毎日、きちんとお母さんのおっぱいが飲めているかがとても重要な時期です。
できれば数日から1週間ごとに測定してあげましょう。
里子に出すとき、健康に成長してきた証拠として、里親さんに記録を渡せたらきっと喜ばれることでしょう。
体重と健康の因果関係
最後に、体重変動の解釈です。
twitterを見ても体重変動を気にされている方は多いです。
そして、なんだか一昨日に比べて大きくなったような…と思って体重を測ってみたらビックリ!9グラムも増えてる…!
robin's nest (@NestRobin) 2017年4月7日
こんなに急に増えるものなの?オヤツあげ過ぎたかしら…
#デグー pic.twitter.com/QGIuIoEvO6
4月度体重測定会
デグ太☆ぴーすけ (@degu_deguta) 2017年4月5日
*デグ太♀11月1日生
144g→148g
*ぴーすけ♀3月1日生
44g→53g
ぴーすけ成長期だね( ^ω^)♪
ただあなた4月1日に測ってから9g増えるってどーなの?笑#デグー
ぐぴぷらー!二匹とも体重減ってる(うω;´)もっと食べてー!
とむ (@guppymouse) 2017年4月5日
まぁ、ぐぴは210g台がベストっていわれてるからいいか。
ティさん!チモシー食べよ?
「おやつくれないとやなの~!」#デグー pic.twitter.com/Wutr0UlW1K
体重変動の主な原因として以下のようことが考えられます。
・体調不良
・年齢(成長/老化の過程)
・病気以外の食欲の変化
・季節変動
・その他
体調不良
病気のサインとして体調不良による食欲不振で体重が減少する場合があります。
代謝機能に問題があって、特定の栄養素が利用できない場合や、消化器の病気、寄生虫感染などが原因で十分な栄養を吸収できていない場合は、下痢・軟便の症状が出ることも多く、食欲旺盛でも体重が減っていきます。
また、体重減少は、糖尿病が悪化したときのサインでもあります。
そのほか、不正咬合による食欲減退も考えられます。
体重減少と合わせて歯ぎしりをする、ペレットは食べるけれど牧草が減らない、くしゃみやよだれが出る。
こういった症状がみられるときは、動物病院で診てもらいましょう。
反対に、体重増加にも注意が必要です。
肥満が原因と思っていたら、
「腫瘍」、「子宮や肝臓など内臓が腫れる病気」、「浮腫(むくみ)」などが原因で、みかけの体重が増えている可能性もあります。
成長期でもないのに継続して体重が増加しているときは、活動性(息切れしていないか、いつも通りホイールを回しているかなど)や食欲、飲水量、尿量などとあわせてチェックしてみてください。
年齢
1歳までの若いデグーは、一定の割合で体重が増加していきます。
多くの飼育書では、一般的な成デグーの体重は200~400gとされています。
しかし、絶対にこの範囲に入る必要はなく、特にメスでは、生涯を通じて200g以下のデグーもいるでしょう。
肥満や痩せの判断は、体重の数値だけでなく、外見も参考にします。
真上から見た時のボディラインを専門用語ではボディ・コンディション・スコアといいます。
詳細は各種ウェブサイトで参照できます。
背骨が触れるか、ウエストがくびれているか、などをチェックします。
5歳を過ぎたデグーは、徐々に代謝機能が低下していきます。
週単位の変動が大きいときは健康診断をお勧めしますが、月単位の変動であれば、加齢によるものかもしれません。
体重のピークを過ぎていますので、現状維持もしくは緩やかな体重減少がみられます。
痩せてきたからといって、高カロリーの餌を与える必要はありません。
ただし、食べやすさを考えて、ロングタイプの牧草から、ショートまたはソフトタイプの牧草への切り替えを検討してもいいかもしれません。
病気以外の食欲の変化
体重減少の原因として、発情時のストレスや、牧草・ペレット切り替え、ケージを新調した、などによる一時的な食欲不振が考えられます。
これらの原因に対処した後も体重が回復してこなければ、他の原因を探す必要があります。
なお、妊娠時にも体重が変動します。
みかけの体重が増加するため見落としがちですが、赤ちゃんに栄養を取られてしまって母デグーが栄養不良に陥っているケースをみかけます。
産後に子宮の回復を早め、十分なお乳が出るように、通常より高栄養の食餌(アルファルファ牧草など)をプラスして与えます。
ただし、妊娠中に肥満になると難産になりやすいです。
また、高血圧や糖尿病などの予備軍になる可能性もあり、生まれてくる子デグーたちにも悪影響が出る可能性があります。
様子をみながら体重を管理していきましょう。
季節
一般的に、冬は体重が増え、夏は減る傾向にあります。
これはとても自然なことですので、体重の季節変動に対して、それほど神経質になることはないでしょう。
ただし、冬は身体が脂肪を貯めやすいので肥満になりやすいです。
さらに夏は暑さによる食欲不振から、栄養状態が偏る可能性があります。
夏は嗜好性を高めるために香りの良い野草やハーブを混ぜたり、水分含量が多く柔らかい生牧草をプラスするなど、季節に合わせて変化をつけるといいでしょう。
また、換毛期には通常よりも身体にストレスがかかり、カロリーを消費します。
だからといって、換毛期が始まってから栄養をプラスするのでは少し遅いのです。
「そろそろ換毛期だな」と思ったら、通常よりも体重管理や健康チェックに重点を置き、いつものごはんに少し栄養をプラスしてあげるといいでしょう。
特に、初めての換毛期を迎えるデグーは、角化異常や部分的な脱毛などの皮膚・被毛トラブルをおこしやすいです。
若いデグーや老齢のデグーでは、クルミなど少量のナッツ類(良質の脂質を補充するため)やヤギミルク(良質のたんぱく質、脂質を補充するため)を補充したり、普段あげている牧草の栄養価を高める(一番刈りを与える、チモシーが苦手な場合、より好んで食べてくれる牧草をプラスするなど)ことで、順調な換毛を促します。
その他
環境の変化で体重が増減することもあります。
新しい子をお迎えした。同居のデグーが亡くなった。お仕事などで飼い主さんの生活リズムが変化した。飼い主さんに新しい家族が増えた。こういったことでも、体重の変化がみられる場合があります。
「もっと遊んでほしい」、「自分の序列がわからず不安(多頭飼育の場合)」などのサインが、体重から読み取れることもあります。
ストレスが原因で食べてばかりいる、または飲水ばかりしているデグーには、コミュニケーションの時間を増やしたり、かじり木や玩具など、他に興味を持てそうな物を工夫して設置するといいでしょう。
このような場合の体重変動は、徐々に安定してくれば問題ありません。
ハーブや野草にも気分安定効果や食欲増進効果が期待できるものがあります。
オヤツとして、上手に取り入れてみるのもいいでしょう。
体重測定のついでに、全身の健康チェックも
せっかくデグーを抱っこするのですから、五感をフルに働かせて、デグーの全身をチェックしておきましょう。
抱っこしたときに、
・毛並み、毛づや
・爪が伸びていないか、足のつき方に異常がないか
・耳の汚れ、皮膚の異常(脱毛、赤み、フケなど)
・目の異常(目やに、眼球の濁りなど)
・口の周囲(よだれ、においなど)
・鼻はきれいか(鼻水、乾燥してガサガサになっていないかなど)
これらのことを確認してみましょう。
最初は、1回の測定で1項目でも構いません。
慣れたら、意識しなくても全部チェックできるようになります。
日々のふれあいに、上手に体重測定を取り入れて楽しいデグーライフを送ってください!