うさぎは「かわいい」、「もふもふ」と癒しポイントが多く、「おとなしい」のでペットとして人気です。しかし、そんなうさぎも何年かすれば老いていきます。足腰が弱って自力で食事をとれなくなるので、介護の必要があります。
うさぎに限らず、ペットの介護は大変ですが、大切な家族の一員です。今回は、うさぎをはじめ、ペットの介護問題や獣医さんから教わった介護のコツをご紹介します。
デグー介護の記事でも載せましたが、どんな動物にも必ず衰えがきて、介護が必要になります。「飼い主として最後まで面倒をみることができるか」、そのペットをお迎えするとき、一度考えてみてはいかがでしょうか。(執筆者:伊藤悦子)
うさぎの介護問題
東洋経済オンラインに次のような記事がありました。2011年が卯年ということで、うさぎを飼い始めた人が多くいましたが、7年の年月が経ち、介護の負担が大きいという問題に直面しているようです。
(参考:続出する「高齢ウサギ介護」の知られざる実態)
ちなみに、飼育頭数の多い哺乳類は、犬や猫に続いて「うさぎ」です。デグーやハムスターなどの齧歯類は「うさぎ」よりも飼育頭数が少ないということになります。デグーはまだまだ飼育頭数が少ない状況ですが、Googleトレンドを見ると、少しずつ人気が上がってきているのがわかります。
うさぎって手間がかからない?
「うさぎは手間がかからない」と認識している方が多く、特に1人で暮らす女性に人気があるようです。たしかに犬のようには吠えないし、散歩に行く必要もありません。なんとなく「手間がかからないイメージ」がついているのでしょう。
しかし、手間がかからないペットはいません。ケージの掃除、毎日のエサや水やり、ケージの掃除、健康管理などをマメに行う必要があります。これは、どんなペットであろうと同じことが言えます。
うさぎの高齢化は何歳から?
うさぎの寿命は、一般的に5年から8年といわれていて、7年経つと「高齢化」になります。犬や猫よりはやや短いのですが、最近は「フードの品質が向上したこと」、「獣医療の発達」で寿命が延びる傾向にあります。
いつまでも元気ならいいのですが、人間と同じように足腰が弱ってきたり、食欲が落ちたりすることもあります。また、骨折などのケガで思うように動けなくなることもあります。寝たきりになると、自分で「ごはんを食べられない」、「排泄ができない」となり、お世話も今まで以上に手間がかかってしまいます。
うさぎの介護のコツ
うさぎの診療をされている獣医さんに、高齢や病気のうさぎ介護におけるコツを質問しました。うさぎだけでなく、他のペットにも応用が利くこともあるので、参考にしてください。介護はどうしても1人で悩んだり、思いこんだりしがちなので、専門家や周りの人に相談することが大切です。
思い込みをしないこと
よく聞く話ですが、「うさぎは、寂しいと病気になる」ということはありません。寂しがらせて病気になったということはないのです。また、元気がない状態を「暑いから」、「寒いから」と思い込み、病院に行かないことも危険です。腎臓病にかかっていることもあります。
さらによくあるのが、お水を飲まないのは「給水器が気に入らなくてわがままを言っている」と思ってしまうことです。。実は給水器の飲み口がカビで固まって、水がうまくでていないことがあります。水をあまり飲まないときはチェックしてみましょう。
動物病院での診察のコツ
犬・猫中心の動物病院ではなく、うさぎをしっかり診てくれる動物病院をかかりつけにしましょう。エキゾチックアニマルも診てくれる病院は少ないので、飼い始めるとき、必ず2~3軒の動物病院を見つけておくことをオススメします。(参考:デグーの動物病院選び5つのポイント!かかりつけは2軒あると安心)
「元気がない・食欲がない」という時も、すぐに獣医さんに連絡できるようにしておくことが大切です。先生に説明するときは、「時系列で手短に」伝えることがポイントです。
神経症状があるとき
高齢になると神経症状でまっすぐ歩けなくなることがあります、うさぎが同じ方向にクルクル回ったり、あちこちに入ったりしてしまうときは、お風呂マットなどでサークルを作ってあげましょう。お風呂マットなら、当たってもうさぎの身体が痛くありません。もしくは、子供用プールなどに入れてもいいでしょう。
薬を飲まないとき
薬をなかなか飲まないときは、ヨーグルトやマヨネーズ・ジャムなどを手でこねて与えてください。また、前脚に塗ると意外となめてくれることがあるので、試してみてください。
暴れる子は、袋に入れると落ち着きます。顔だけ出して、流動食やお薬をシリンジなどであげましょう。このとき大事なのは、やさしく褒めながら与えることです。怒ったり怖い顔をしないようにします。うまく食べたら、ご褒美に好きな物を食べさせてあげます。
薬を飲んだ時に気をつけること
お薬を飲むようになって「よく寝るようになった」のは、「病気が進行している・違う病気と重なっている」ことがあります。すぐ病院にいきましょう。
また、薬を飲んで以下のような症状があったら、すぐに病院に行きましょう。
チェックポイント
- 下痢をする
- 食欲がなくなった
- 元気がなくなった
- 薬を飲まない
介護日誌は生きた証
ペットの介護で大切なことは、記録をつけることです。手書きの日記、写真や動画で記録してもいいでしょう。ブログで発信するのもいい方法です。
食欲や食べたもの、排泄物の回数など健康状態も記録しておくと、受診の手助けにもなります。また、その子が生きた証になり、思い出にもなります。記録が他の飼い主に役立つ可能性もあります。
プラスの言葉をかけよう
うさぎに限らず、ペットの介護では「マイナスのことを口にしない」ことも重要です。
例えば、「こんなになるまで気づかなくてごめんね」、「どうしてこんな病気になっちゃったの」、「わたしのせいでこんなことになったね」など、よく言ってしまいがちです。
しかし、「今まで、本当にいい子だったね」、「うちの子になってくれて、楽しかったよ、幸せだったよ」、「ありがとう」とプラスの言葉を静かにかけてあげましょう。ペットには、飼い主の気持ちが通じるものです。明るく前向きな言葉をかけることが大切です。
マイナスの言葉は切り替える
動物病院で「もうやれることはありません」、「家でみてあげてください」、「手遅れです」などと言われることがあります。また、周りから「もっと早く病院に行けばよかったのに」と言われることもあるかもしれません。そんなことを言われたら、落ち込んでしまいがちですが、自分で切り替えることも必要です。
1人で頑張らずに乗り切る
1人で抱えがちな介護ですが、「1人で悩まない」、「1人で頑張りすぎない」ことが一番大切です。困ったときは、SOSを出して周りに助けてもらいましょう。話を聞いてくれる獣医さん、アドバイスをしてくれる動物看護師さん、うさぎやペット仲間、友人や家族はもちろんSNSでもよいと思います。
家族同然であるペットを最期まで看るのは、飼い主として当然のことです。そこには当然辛さも伴いますが、ツライ時もうれしい時も一緒にいてくれたペットに「いままでありがとう」という気持ちで面倒を見てあげたいものです。自分ひとりでなんとかしようとするのではなく、人に助けてもらうこともペットの介護を乗り切るコツです。