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デグーの強制給餌や保定方法!お薬をもらったときの上手な投薬

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デグーの薬投薬方法

デグーを動物病院に連れていって無事に帰宅。「ああ、疲れた~」と思うのも束の間。「そうだ!薬あげないと!」動物病院で説明を受けてきたけど、実際やってみるとデグーの投薬って意外と大変です。

そんな方のために、今回はデグーの「薬の飲ませ方・薬の種類に合わせた投薬のポイント」を写真付きで紹介します。強制給餌やデグーの保定方法など、ぜひ参考にしてください。(執筆者:animal_care_information

 

薬はそのまま派?混ぜる派?

薬を「フード・オヤツ・水」に混ぜてあげる方法がありますが、私はあまりオススメしません。主な理由は以下の2つです。

オススメしない理由

  • 1食べ残しがあると飲んだ薬の量がわからなくなる
  • 2薬を加えると水やフードの味が変わり、警戒するようになる

まずは1点目。「食べ残し・飲み残し」があったり、同居の子がつまみ食いしたりすると、実際に飲んだ薬の量がわからなくなります。せっかく投薬するなら、その「効果」を期待したいです。

正確な量の薬を飲まないと十分な効果が得られません。また、水分と一緒に放置することで、光が当たる環境では薬の成分が変性してしまう心配もあります。

2点目は薬を加えることで水やフードの味が変わってしまい、警戒するようになることです。デグーは嗅覚が発達しています。「ん?なんだかいつもと違う!?」と、気づかれてしまうかもしれません。

体調不良だから薬をもらったのに、警戒されてご飯を食べなくなったり、飲水量が減ったとしたら本末転倒です。投薬が終了しても、これまでのフードを食べてくれなくなるおそれがあります。

せっかく病気が治ったのに、今度はフード難民・・・これでは飼い主もストレスがたまってしまいます。最初はペレットに染み込ませたりせず、直接投薬してみてください。
ただし、デグーの症状によってはフードと混ぜて投薬せざるを得ない場合もあります。

ほとんど食欲がなく「水を飲むのもスポイトから」というような時は、シロップで甘くした薬、ハチミツなどの香りがついた薬を高栄養食に混ぜて強制給餌してみましょう。それでは「飲ませ方のポイント」を薬の種類ごとにみていきましょう。

1.水ぐすり(シロップ剤など)

デグーに処方される薬は、このタイプが一番多いです。プラスチック製容器に入っているものをシリンジで吸って投薬する場合、点眼瓶のようなものに入った薬を指示にしたがって数滴投薬する場合があります。

水ぐすり(シロップ剤など)

薬をシリンジに吸う時、空気が入ってしまうことがあります。シリンジを縦(上向き)に持ち、投薬の前にシリンジを爪でトントンとはじいて空気を抜いておくと飲ませやすいです。

投薬

デグーの抱え方【保定方法】

それでは実際に飲ませてみましょう。デグーの身体が動かないように、タオル(爪がひっかかりにくい素材)でデグーの首から下を軽く包んでしまうのがオススメです。そのほうが初心者でも投薬がスムーズにおこなえます。
※飼い主の怪我防止にも

デグーの持ち方

まず中指~小指でデグーを支え、親指と人差し指で横からデグーの口を開きます。次に切歯(前歯)と臼歯(奥歯)の間に隙間があるので、そこから薬を素早く飲ませましょう。

デグーの保定方法

とろみがあるシロップ剤ではなく、サラサラした水状の薬の場合、勢いよく喉に向けて投薬すると気管に入ってしまうことがあります。
※誤嚥(ごえん)といいます

健康なデグーであれば少量の誤嚥は問題ありません。しかし「病気・高齢」のデグーでは、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)という、呼吸器病の原因になることがあるので注意が必要です。(参考:デグーの寿命とその一生。歳を取ったら起こる変化と高齢デグーの介護

水薬は甘いシロップ剤や注射用のブドウ糖で調製してあることが多く、「デグーに糖分って大丈夫なの?」という声も聞きます。結論として、3日~14日間くらいの投薬でしたらシロップやブドウ糖も問題ありません。

繰り返し薬が処方されたり、慢性疾患などで投薬期間が長い場合は、歯の健康のことも考えて「シロップを控えた処方にできないか」かかりつけの獣医師に相談するのがオススメです。(参考:デグーの動物病院選び5つのポイント!かかりつけは2軒あると安心

私は薬とシロップ剤を別々の容器にもらっています。まずは薬だけで挑戦して、どうしてもデグーが飲んでくれない時だけシロップをその場で混ぜます。この時、シロップをケチってはいけません。

せっかく薬の苦味を消すために添加するのですから、十分な甘みが付くようにします。動物病院で調剤する時の都合もあるので、すべての動物病院でこういったお願いができるわけではありません。

2.粉ぐすり

デグーに必要な粉ぐすりの量はごくわずかです。そのため、整腸剤などを混ぜてかさ増ししてあることがほとんど。整腸剤にはわずかな甘みがあるため、苦味のある抗生剤を飲ませる時にも整腸剤が混ざっていると便利です。

粉ぐすりを何かに混ぜず、そのまま飲ませるのはとても難しいです。そこで便利なのが1mlシリンジ(注射器)です。粉ぐすりが処方されたら、動物病院にお願いして1mlシリンジを付けてもらいましょう。
※有料の場合もあります

1mlシリンジは強制給餌にも大活躍するので、家庭に常備するいい機会です。ただし、プラスチック製シリンジは本来使い捨ての製品です。

繰り返し使っているとゴムの部分が劣化して滑りが悪くなったり、筒の内側に塗ってあるコーティングがはがれて、シリンジの材質に薬が吸着されやすくなります。デグーに投薬する時は、シリンジの状態もチェックしましょう。

粉ぐすりをあげる手順


デグーの薬

上の写真のように粉ぐすりを袋の角に寄せます。少しあそびの部分を持たせて、くすりの部分だけを残して円を描くように袋を切り、水や病院で処方された液剤(シロップ剤など)をシリンジで吸います。

袋の中で吸ったり出したりを繰り返して、粉ぐすりと液剤をよく混ぜましょう。薬を吸ったらシリンジを上に向け、爪で数回はじいて空気を抜いたら準備完了です。

デグーの薬の飲ませ方

水分を多めにした時

水ぐすりと同じ要領で飲ませます。粉と液が分離してしまうと飲ませにくいので、薬をシリンジに吸ったら、すぐにデグーを保定して飲ませてください。量が多い時は一気に押し込まず、点眼瓶のように数滴ずつ口に入れるようにしましょう。喉の奥をめがけず、シリンジの先を頬の内側や舌の裏側に向けるといいでしょう。

ペースト状にした時

ペースト状の薬も、シリンジで吸って水ぐすりと同様に投薬できます。
しかし、薬の一部がシリンジに残ってしまうため、最後にシリンジ内を少量の水で洗うようにして、残った液を飲ませる作業が必要です。

その他

ペースト状の薬を指先につけ、そのまま舐め取らせる方法もあります。へら状のもので歯や頬の内側に直接塗りつけて投薬することもできます。
ただし、へらのような道具を使うと、デグーが齧って折れてしまうデメリットもあります。

3.錠剤(サプリメントなど)

デグーの場合、錠剤をそのまま処方されるケースはまれでしょう。
しかし、健康補助食品(サプリメント)が処方されることはあるかもしれません。サプリメントは嗜好性を高めた製品がほとんどですので、オヤツとしてそのままあげることができます。

ただ、残念ながら我が家のデグーはどの子も食べてくれませんでした。そこで、ピルクラッシャーという道具(下の写真)を使って粉末状にし、粉ぐすりの要領で飲んでもらいました。

ピルクラッシャー

サプリメントは分量に厳密でなくてもいいため、強制給餌のペーストに混ぜたり少量のオヤツに振りかけたり、いろいろ工夫してみてください。ただし、身体にいいからと言ってサプリメントのあげ過ぎは禁物です。適量を長期間続けることで効果が得られるのがサプリメントの特徴です。

4.外用薬(塗り薬、点眼薬、点耳薬など)

塗り薬は適量を患部に塗布します。気にして舐めるようなら、気をそらせるために食前に塗ってください。ごはんに集中している間に薬が浸透していきます。あまりベタベタに塗ってしまうと、患部にゴミやホコリが付着して不衛生です。砂浴びを控えるなど、工夫が必要になります。

点眼薬

点眼瓶の先が目や皮膚に直接触れると雑菌が繁殖する原因になります。また、キャップをせずに床に放置しておくと砂浴びの砂やデグーの被毛などが付着してしまうことがあります。

デグーを保定する前にキャップをゆるめておくと片手で操作できます。それから点眼しましょう。デグーは真上(目に対して直角)から点眼すると怖がります。後ろ(後頭部側)から斜めにアプローチして1滴ぽとり。

あふれた時はティッシュやコットンでやさしく拭き取り、目が傷つけないよう気をつけてあげましょう。他の薬も点眼する場合、続けて点眼すると前の薬を次の薬で洗い流してしまう可能性があります。1~2分の間隔をあけてから点眼するようにしましょう。

点耳薬

冷たい薬液が耳に入るとデグーが強いストレスを感じます。使用する前に必ず人肌にもどしてください。冬の寒い時期は特に注意が必要です。

点眼薬と同様、容器の尖端が耳などに直接触れてしまわないよう気をつけて点耳します。通常は薬液ができるだけ奥の方に届くよう垂直に滴下します。

耳の奥に傷がある場合は薬がしみて嫌がることがあります。そのような時は薬が患部に直接当たらないよう少し斜めにで点耳するといいでしょう。
※薬液が耳の壁づたいに少しずつ垂れていくようなイメージ

点耳が終わったら、デグーを保定したままで耳の付け根をそっと数回マッサージすると浸透しやすくなります。嫌がるようでしたらムリにおこなう必要はありません。

デグーが何度も頭を振り、薬と耳垢が出てきてしまう場合は、汚れが付いた部分をティッシュやコットンで拭き取ってあげましょう。

まとめ

デグー

あとは実践あるのみ。いやなこと(投薬)は短時間で終わらせるのが一番です。「さっと保定してさっと投薬」が長続きの秘訣です。投薬が終わったら、たくさん褒めてあげてください。

投薬後、いきなりハードな遊びは控えましょう。せっかく飲んだ薬が食道を逆流してきたり、薬が浸透する前に目や耳の外に出てしまったり、思わぬトラブルにつながります。

普段からシリンジや投薬瓶を見せ、顔の近くに持っていっても抵抗しないよう慣れさせておくのもひとつの方法です。ただ、我が家のデグーは、シリンジや点眼瓶を宝物のようにどこかに持って行ってしまいます(笑)

あまり慣れすぎるのも、思わぬ落とし穴があるかもしれません。「普段から練習しておくとよい」という意見もありますが、私は「薬=楽しい物」である必要はないと思います。

むしろ投薬が終わった後にたくさん褒めてあげることで、「大変だけど頑張った」という達成感。「大変だけど、これを飲むと体調が良くなる」という実感をデグーに感じてもらうことが、次の投薬成功につながると考えています。

飼い主さんとの信頼関係も深まるでしょう。この記事から薬と上手に付き合うヒントを1つでも発見していただければ幸いです。