デグーの飼育・魅力、小動物の情報を発信するブログです。
menu
search
最新記事

それ、デグーに与えても大丈夫?意外と知らない身近な危険物のお話

この記事をシェアする

デグー

デグーはまだまだ知名度が低い生き物です。ほとんどの飼い主が飼育本を読んだり、インターネットからさまざまな情報を得て、手探りでデグーの飼育をしていることでしょう。

最初はエサ一つに対しても神経質になりますが、慣れてくると次第に大ざっぱになりがちですよね。これくらいなら大丈夫だろうと、デグーにとって危険な物を与えたりしていませんか?

そもそも、デグーにとって「危険な物」とは一体なんでしょうか。今回は見落としがちな、身近にある「意外な危険物」に焦点を当て、「デグーが口にしてはいけないもの」をまとめました。(執筆者:上田絵美

 

野菜類に潜む自然毒の危険性

「ペレット」「チモシー」などの牧草以外に、どんなおやつをあげていますか?野菜や果物と答える方もいらっしゃるでしょう。小動物は生野菜をモリモリ食べているイメージがありますよね。

しかし、すべての動物に言えることですが、どんな野菜でも与えてよいというわけではありません。たまに「緑色の物はあげてもいい」という人がいますが、それは違います。

実は野菜や植物の中には、昆虫や外敵から身を守るために持つ「自然毒」を含んでいるものがあるのです。自然毒は種・葉・茎・根に多く含まれています。
例えば、たまねぎ・ホウレンソウ・ジャガイモの皮や芽・未熟なトマト・銀杏・アボカドなどがそうです。(参考:消費者庁:自然毒

たまねぎ

アリルプロピルジスルファイドという物質が含まれており、赤血球に含まれるヘモグロビンを酸化させて溶かしてしまい貧血を引き起こします。(ウィキペディアたまねぎ中毒参照)

ジャガイモの皮・芽

ソラニンという物質が含まれており、血液を溶かす作用や神経を麻痺させる作用があります。

未熟なトマト

トマチンという物資が含まれており、大量に摂取すると腹痛や下痢を引き起こす。実だけでなく葉や茎にも多く含まれています。

ホウレンソウ

シュウ酸が多く含まれており、過剰摂取は泌尿器官に影響を及ぼす可能性があります。

銀杏

人間でも食べすぎると中毒症状を引き起こします。嘔吐、下痢、呼吸困難などを引き起こす可能性があります。

アボカド

ペルジンの多量摂取によりけいれん、呼吸困難を引き起こす可能性があります。

生で食べると舌がピリピリしたり、苦みやエグミを感じたりする成分、それが自然毒です。私たちは自然毒が含まれる食材を食べる時、熱を加えたり皮をむいたり、芽や茎を除去して「アク抜き」をします。きちんと処理をして、人間が安全に食べられるようになっても、小さな体には耐えられない場合もあるのです。

もちろん、上記に述べた野菜類は尋常じゃない量を摂取した場合だったり、加熱をすれば問題ない場合もあります。デグーに野菜を与える時は、小動物用に売られている「乾燥野菜」などを参考にしてください。そして、自然毒が多く含まれている可能性がある種・茎・皮・芯は避けるようにしましょう。

 

生野菜はビタミン類が豊富ですが、水分を含んでいるため、大量の摂取は下痢などの症状を引き起こす可能性があります。小動物の軟便・下痢はとても危険です。生の野菜は少量を与えるか、乾燥させてさせてから与えるようにしましょう。

デグーに与えてもよい野菜類

ニンジン(葉も)、パセリ、みつば、桑の葉、ビワの葉、カブの葉、ブロッコリー、キャベツ、サラダ菜、レタス、チンゲン菜、小松菜、カボチャ、カリフラワー、ハーブ、クローバー、タンポポの葉など

混同しやすいクローバーとカタバミ

デグーとクローバー

デグーに与えてよい野草の一つにクローバー(シロツメクサ)があげられます。
しかし、クローバーとよく似た野草に「カタバミ」があります。この野草はシュウ酸が多く含まれており、大量に摂取すると胃腸炎や腎臓障害となる可能性があるので非常に危険です。

クローバーとカタバミの見分け方

クローバー(シロツメクサ):葉の先が丸い、葉に白い筋がある(無いのもある)、白い花が咲く、日の当たる場所を好む
カタバミ:葉は先端がハート、黄色(もしくは紫)の花が咲く、日陰に多い

クローバーとカタバミ

クローバーも多少のシュウ酸を含むので、生での与え過ぎに注意してください。たくさん摘んだ場合は、乾燥させましょう。きちんと乾燥させると無害で与えられます。

シュウ酸は一部の野菜に含まれている。一方で過剰なシュウ酸摂取は一部の結石の原因になるとも考えられている。水溶性のシュウ酸の除去には調理で茹でることで減少させることが可能。また、カルシウムを同時に摂取するとシュウ酸がカルシウムと腸内で結合しシュウ酸塩となり体内に吸収されにくくなる。
引用:Wiki

植物(鉢植えなど)に潜む自然毒の危険性

 

皆さんの家では、デグーに部屋んぽをさせていますか?狭いケージの中だけではストレスが溜まってしまうので、のびのびと部屋んぽできる環境を作ってあげられるのがベストです。

しかし、部屋んぽのときは植物(観葉植物や鉢植え、植木など)に注意する必要があります。植物は、外敵から身を守るために「自然毒」があるのです。

自然毒を持っている植物例

クリスマスローズ、ディフェンバキア、デルフィニウム、ガジュマル、アジサイ、ほおずき、ポインセチア

すべての植物が毒を持っているわけではありませんが、どこの家にもあるような観葉植物や鉢植えが、ペットにとって危険な物だったりするのです。誤って自然毒のある植物の葉や茎をかじってしまうと、嘔吐や下痢・けいれん・心臓麻痺などを起こす可能性があり、最悪は死にいたる場合があります。

部屋んぽをさせる時は、植物を移動させるか、安全なものかどうかを調べてから植物を飾るようにしましょう。外にデグーを連れ出すことは少ないと思いますが、植木や花壇の花・葉・茎・根・球根など、これらも齧らせないよう注意が必要です。

その他、危険な植物一例

ツツジ、アマリリス、ケシ、サツキ、シダ、スズラン、セントポーリア、スイセン、ヒヤシンス、ベゴニア、オシロイバナ、ベンジャミン、カランコエ、カラー、ナンテン、ユリ、アイビーなど

その他の身近な危険:革製品・塗料

f:id:torus1:20180908172905j:plain

部屋んぽ中に、バッグやベルト、財布などの革製品をかじられたことはありませんか?弾力があって噛み応えのある革製品は、イタズラしたくなる格好のターゲットですが、実は革製品も危険なんです。

すべての革製品というわけではありませんが、革をなめす時につかう薬品が劇薬だったりすることがあります。飼っているペットが知らずに噛んで死亡したケースもあるので、噛ませないようにしてください。

 

最近はDIYが流行っているので、自分で家具を作ったりペンキを塗ったりして、リフォームを楽しんでいる方も多いと思います。
しかし、ペンキで塗られた家具を誤ってかじってしまうと死に至ることがあります。ペンキなどの塗料には、危険な化学物質(鉛)が含まれていることがあるのです。

子供や動物にも安心な自然素材のペンキもあります。室内のペンキを塗る際は検討してみてはいかがでしょうか。これらの危険を回避するには、部屋んぽ中に目を離さないことが大切です。

その他の身近な危険:ボタン電池、タバコ、薬

デグーの部屋んぽ

ボタン電池はあらゆる電化製品に使われているため、わりと身近にあると思います。部屋んぽ中、デグーのおもちゃになることがあるので、きちんと保管しておきましょう。

デグーがボタン電池を飲み込むことはないと思いますが、古くなった金属製容器が腐食している場合があります。力いっぱい噛むことで、ボタン電池が破損し、中から電解液の水酸化カリウムが漏れ出すと大変危険です。

 

水酸化カリウムは強いアルカリ性であるため、皮膚や口の中など、潰瘍(かいよう)を引き起こす原因となります。うっかり液体を飲んでしまったら、内臓にも影響を及ぼしてしまいます。

また、タバコの吸い殻や人間の薬なども齧ると大変危険です。万が一、齧ってしまったり食べてしまった場合は、迷わず動物病院へ連れて行きましょう。

その他の身近な危険:精油(アロマオイル)

精油(せいゆ)とは、自然植物の花や葉、木部、果皮、樹皮、根、種子などの部分から抽出した天然100%の液体のことです。この精油を使って、心身のトラブルの回復や、美容、健康に役立てていく自然療法のことをアロマテラピーといいます。

ディフューザーなどで部屋に香りを広げると、とても気持ちが穏やかになったり、体調が回復したりと、普段から使用されている方も多いことでしょう。
しかし、これらのオイルが小さな命を脅かすのをご存知でしょうか。

 

精油を誤飲してしまうと、胃腸障害・中枢神経系の抑制・肝臓障害などの恐れがあり、吸い込んだ場合でも誤嚥性肺炎を起こしてしまうことがあります。とくに猫の死亡事例が多く、インコの死亡例はネット上でも話題になりました。
(参考:ペットのインコが「アロマ」で急死... 注意喚起ツイートに反響、獣医も危険性を指摘

動物が中毒を起こすケースがあるアロマオイル

デグー

人間にとってさまざまな効果のある物でも、小さな生き物にとっては劇薬だったりします。スプレーやディフューザーを噴霧(ふんむ)すると、空気中に漂ったアロマを知らない間に吸い込み、少量ずつ体内に蓄積され、徐々に体調が悪くなる場合もあります。

もちろん、すべての精油が危険というわけではありません。ペット用品にはアロマオイルが使われているものもありますが、きちんとした知識を持たないままの使用は避けた方がよいでしょう。

 

日常的にアロマが欠かせないという方は、以下の点に気をつけて使用してはいかがでしょうか。小さな生き物を苦しめないために、私たち飼い主が気をつけてあげましょう。

アロマ使用時の注意点

  • 動物にとって安全な精油を使用する
  • 部屋んぽ時、誤って舐めないよう管理を徹底する
  • アロマの使用頻度を減らす
  • 生き物がいる部屋での使用は避ける
  • 部屋をよく換気する

アロマだけでなく、私たちが普段何気なく使っているお部屋の消臭スプレー、制汗スプレー、香水、蚊取り線香(煙の出るタイプやスプレー)なども注意してください。直接薬剤を吸い込むと中毒を起こす可能性があるので、「生き物の近くで噴射(使用)しない、使用方法や使用場所を考える」といった工夫が必要です。

中毒を起こすケース

  • ティーツリー:フラフラとして酔ったような症状、筋肉の震え、よだれ、嘔吐、皮膚の発疹、低体温、昏睡状態または死亡の恐れ
  • ミント:嘔吐、下痢
  • メグサハッカ、ペニーロイヤル (ハッカ油):肝不全
  • ユーカリプトール (ユーカリ属):よだれ、嘔吐、下痢、運動機能の低下

まとめ

いかがでしょうか。意外にもデグーの身近に危険が多くてびっくりしませんか?あれもこれもと「神経質すぎるのでは」と思うかもしれませんが、「このくらいなら平気」と自己判断することが一番危険な事です。

小さなことでもできるだけ多くの情報を収集し、「デグーにとって少しでも危険があるなら迷わず回避する」、「与えてよいか、使ってよいかを迷ったら自分で調べて安全を確認する」。この小さな命を守ってあげられるのは、飼い主以外にはいません。「どうすればデグーが安全に暮らせるか」、あらためて考えてみてはいかがでしょうか。